2011/06/11

女性ヌード・クロッキー


ふくよかな女性のヌードを短時間で描きました。
調子をつけたところをティッシュなどでこすることによって、体の流れやボリュームを表現出来ます。

上の作品は大きなストロークで、人体を大きく捉えています。骨盤から背骨がひねりながら首につながりますが、首の付根のあたりは表現がすこし弱く感じるかもしれません。

肌に触れながら描いているような、皮膚の存在感がとてもいいですね。





墨で描いた線に水彩で彩色されています。引き直された線とスピード感が、人体を活き活きと表現されています。顔の表情もいいですね。




同じポーズでも、画材の違いによって印象が変わります。鉛筆は細い線の集積になるので、細部まで描けますが、時間もかかります。パステルやコンテは、線がやわらかく引け、抑揚もつけやすいので、短時間で描くのにも適しています。

カトラリー


カトラリー、いつもカラトリーと言い間違えますが、カットだからカトラリーだそうです。どうでもいいお話ですが^^

質感の違いと、同じ台の上にきちんと置いてあるように描くことがポイントです。一つだと分かりづらいのですが、複数置いた時にすべてが同じ台に載っていること。そうすることによって、前後感や広い空間を表現できるようになります。

上の作品は、何も描いてない背景が、空間として広がりを見せています。




古い鉄製のおたまです。質感はもちろん、台に置かれてできる影もきちんと描かれています。鉄をたたいてできた素朴な質感がとてもよいですね。





講師作品
台との接地点を意識しながら描きました。すこしスプーンがねじれて見えるので、形をもうすこし観察したほうがいいようです。

2011/05/29

バレリーナ

バレエをされている方を見ていつも気になるのは立ち姿です。



バレエの立方の特徴は、上下に引っ張られているということ。
頭は天井に、足は地面に伸ばす意識で踊ってらっしゃいます。
この作品では、ひねりながら上下に伸びてる姿がよく描けています。




4枚同じ方のクロッキーです。右上のクロッキーは片足の踏ん張りが良く描けていますね。下の2枚は、パーツの大きさやバランスは気になりますが、臆することなく線が引けているので、ダンサーが凛々しく見えます。




中央の立ち姿のクロッキーがとても凛々しいです。左足で重心をとっているのがよく描けています。チュチュをつけた座りポーズは、腰が見えないのでつながりが弱くなりがちです。




足の形がとてもバレリーナらしいですね。難しい肩と首と頭のつき方もよく描けています。足を描く時は、2本の足の隙間を描くつもりで観察すると形が取りやすいです。

2011/05/28

薔薇


春はいろいろな薔薇が咲いていて、色や形、香りまで楽しむことができて気持ちのよい季節です。
今回は花屋さんで売っている薔薇ではなく、地植えの薔薇を分けて頂いて鉛筆で描きました。



花のもつやわらかいふくらみが、線と陰影によってシルクのように描けています。花びらの付け根までのラインをきちんと理解することで、「芯」と「向き」のある花が描けています。








講師作品。大きい枝をそのまま描きました。つるバラの枝の流れがとても美しかったです。




一重のバラです。花だけでなく、茎や葉を丁寧に観察しているとこがとてもよいですね。やわらかな花弁とシャープな茎のコントラストが美しいです。

2011/05/15

男性ヌード

正直なところ、男性ヌードの回は女性のモデルさんの時より参加者が減ってしまうのですが、僕は男性も描かないと女性が描けないと思っています。
男性と女性の骨格や表情の違いを理解することで、より生き生きとした人物を捉えられるようになります。
今回はオイリュトミーというダンスをされている方をお呼びして、クロッキーを中心に行いました。




線が力強くとてもよいですね。描きながら人物と椅子との関係を注意しないと、もしかしたらお尻が落ちてしまうかもしれません。





左のポーズを見る時に意識することは、頭部から左足のかかとまでの流れです。後頭部から胸の正中線への流れが、意識されている所がとてもよいですね。





2色のパステルをつかって、ネジレや重心がよく描かています。右のひねったポーズのラインがとてもきれいです。





人体を直線的にとらえることによって、男性的な雰囲気が出てきます。男性モデルの場合、筋肉や骨格がわかりやすいのでとても勉強になります。

2011/05/14

牡丹と葉

線を描く上で、はじめと終わりがとても大切です。
はじまった線が、どこへ行きつくのか。その先を意識したり想像する事で、対象物をより理解できます。

花びらの線を追っていて、その先にシベや茎の付け根があったり、ギザギザした葉の葉脈を追っていったら、その先がギザギザの先端とつながってた!と気づいたりします。

見落としに気づいたり、発見することで、世界とつながることができます。





大輪の牡丹を、画面いっぱいに描きました。
花びらが柔らかく描けていていいですね。花びらの奥へ続くラインまで丁寧に観察できています。ユリでもバラでも、花びらが落ちた後、シベと茎がどうつながっているかを観察することが大切です。





茶と緑が混ざったような色の大きなアンスリウムの葉です。





お二人とも葉一枚を丁寧に観察できていますね。
日本画家の小倉遊亀さんが生前、

「一枚の葉が手に入れば、宇宙全体が手に入る」

とおっしゃっていました。
すごい境地ですが、一つ一つをごまかさないで観察することで、少しでも理解できるように学んでいきたいと思っています。

2011/04/23

鏡を見つめる女性



ベールをかぶって、鏡を見つめる女性。
きっとモデルさんの中には、ポーズをしながらお腹空いたなぁとか、晩ご飯は何食べようとか考える事もあるかと思います。でも鏡を見てる時は、意識が自分自身に集中して、そこに張り詰めた糸のようなものが存在する気がします。鏡を見るという行為は、そういう意味で興味深いテーマだなぁと思います。

上の作品は、椅子に座った腰の安定感、鏡を持った腕のひねりなど、よく捉えられていると思います。腰や手の設置している部分はよく描けていますが、背中と背もたれの接地部分が少し弱いかもしれません。腰においたクッションのラインだけでも入れてあげると寄りかかっている感じが出てくると思います。





足が長くなったので、短く直した線が少し見えますね。直して良くなったと思います。時間が残り少なくても、直したほうが確実に良い形になるし勉強にもなるので、気づいた時に直すのはとてもいいことだと思います。





家に持ち帰って、写生を見ながらもう一枚描かれたそうです。丁寧に描かれています。鏡を持った手のひねりなど、輪郭線を引いて陰影を付ける方法だと、少し難しいかもしれません。内側に入る線と、向こう側にまわりこむ線を見つけていくと、ねじれが表現できてポーズをしなやかになると思います。





一つ一つの大小関係は気になるところもあるのですが、見つめる表情や、体幹を線で表現してる所が絵として面白いですね。頭蓋骨の形がベールのラインから想像できるとより良くなると思います。





正面から見た時の座りポーズは、足の奥行きを表現するのに苦労する所ですが、腰からもも、膝、すねのつながりの表現はとても存在感があっていいと思います。ハイライトの白を多用すると、肌になにか塗ったような質感になるので、やり過ぎない方がいいかもしれません。

2011/04/11

春の植物



自然界のものにはすべて、らせんの構造があります。
葉や実のつき方をよく観察してみると、右回りと左回りのらせんが、絡みあうような法則があります。デッサンではその事を一つ一つ見つけることで、よりそのものらしさを見つけていきます。

ミモザの黄色い花のふさ、そのふさ自体も、よく見るとプロペラのように回転しながらついています。枝の中ごろの、葉の隙間の形もきれいですね。





ヒヤシンスも花が沢山ついていて、複雑な花の構造なのですが、つぼみの段階を思い出すと、ひとつひとつの花が螺旋状についているのがわかります。茎がねじれてしなやかでいいですね。





コップの縁に寄りかかって、伸びていく感じがよく描けています。一つ一つの繋がりが生命感につながっていきます。





白い小さな花のふさを持つ馬酔木。この植物のらせんの構造はあまり良くわかりませんでした。(花もぽろぽろ落ちてしまうので)ただ、ふさの落ちていく流れのたたずまいが、丁寧に描かれていますね。

2011/04/10

ミュシャのように



花の精のような髪飾りをつけて、セミヌードの女性を描きました。画材は自由に色をつけたり、モノトーンで仕上げたりしています。しっかり形を描くことは勉強としては大切ですが、モデルさんから受け取った印象をそれぞれが自由に表現することが、絵の魅力につながっていくように感じました。

上の作品は、モノトーンで描かれていますが、表情を含めてとても豊かな雰囲気がありますね。頭にかぶった髪飾りのラインから後頭部を想像すると、もしかしたら首が太くなってしまうかもしれません。





少し首を長く感じすぎているかもしれませんが、顔の表情も含めて、色合いとよくあっていて女性らしいですね。静かですが動きのある人物画だと思います。





南国的な印象に仕上がりました。使う色紙によっても雰囲気がかわって面白いですね。





パステルのタッチがきいていて華やかに描けています。首を境に上下ですこし遊離してる印象があります。人体の量感はでているので、線を引いて首と上体との繋がりを確認してみると良いと思います。





パステルで描かれています。肌にブルー系の色が入っているのが綺麗ですね。パステルは紙の溝に顔料を埋めていく画材なので、全体を塗りこみ過ぎると、少し重たい印象になるかもしれません。暗くしたい時は、練りゴムで取って地の色を出してあげると良いと思います。





二種類の濃さの紙で描かれていました。右の作品は色がとても綺麗なのですが、左の人体のほうが、全体のつながりが見やすいですね。女性らしいラインで描かれています。

2011/04/09

パン



パンと金属のカトラリーと布、それぞれの質感の違いをよく描き分けています。ナイフは金属の重さも感じられていいですね。布の上にナイフを置いた時の、接地の表情と落ちた影もよく捉えています。ナイフが布からはみ出た持ち手の方の台の影も描いてあげると変化が出て良いと思います。






パン生地の気泡や、ふりかかったゴマなど、とても丁寧に観察できています。布を折り曲げた時の、布の側面も描いているので厚みも感じられます。上の方と同じように、フォークと布の設置した時の表情(影や布のシワ)などを追うと、フォークにも存在感が出てくると思います。





講師作品
スコーンだけでも美味しそうに描けたらいいなと思ったのですが、こうやって見てみると、上の生徒さんが描かれたパンのが美味しそうです。

2011/02/27

歌うフラメンコ



いつもお願いしているフラメンコダンサーの方は、普段は歌も歌われているそうなので、今回は歌っている所を描かせていただきました。

ハスキーで格好いい歌声です。時折手拍子を加えながら、歌から心が伝わってくるようでした。

このクロッキーは、線と赤い色だけで描かれています。正直よく歌ってる所を描けたなぁと思いました。歌い手の声をキャッチして、なんとか描こうとしてる感じが素晴らしいと思います。





こちらも迫力があっていいですね。B3の画用紙いっぱいに顔を描いています。なんか本当にこういう感じです。これを繰り返していくと絶対に描けるようになっていくと思います。





固定ポーズで全身を描きました。フラメンコの堂々とした上体がいいですね。下半身は腰から足先の繋がりが少し弱い感じがします。





正面の座りポーズで難しい所は、腰から膝にかけてです。へそから骨盤の印象が弱くなりがちなので、服で見えない所ではあるのですが、腰と足の付け根を想像してみましょう。僕は透視と呼んでいます^^
上体はしっかり描けていますね。

2011/02/26

マーブリング紙に描く



先日作ったマーブリング紙に、ペンや色鉛筆で描きました。

沢山紙がある中で、この作品は黒い紙に黒の羽ペンを描くという所が洒落てるなぁ、と思いました。描き終わって、白い字で手紙をそえました。構成も面白いですね。





黒のペンをつかって、金属製のゴブレットを描きました。エッチングの作品のようで雰囲気ありますね。ゴブレットの外側の丸みはなかなか苦労されていましたが、シルエットがとても綺麗です。





薔薇から香りがするようですね。花の膨らみや、ガクなどとても丁寧に描かれています。手前に来る葉の印象が少し弱いかもしれませんが、中心の茎をもう少し長く入れてあげるとより良くなると思います。





和紙にマーブリングで模様をつけた紙に、色鉛筆で描きました。紙の風合いが優しく、皮膚のようでした。





紫の空間の中に、薔薇がそっと存在する感じが自然に描けています。影色にまわりの空間の色(背景色)を意識されているのがいいですね。





チェーンで釣られた珍しい花器に、薔薇がいけてありました。金箔をコラージュし、その上にペンとパステルを使って描きました。薔薇がゴンドラにのって旅をしているようですね。





色合いの強い模様の紙に、香水瓶を描きました。背景が強いので、瓶はシルエットだけにしています。銀箔を貼ったので、時間が経つと腐食してくると思いますので、それも楽しみです。

2011/02/12

外国人男性



黒人の男性の方にモデルをしていただきました。彼はタレントさんで、よくTVCMでも見かける方です。今回はカジュアルな格好で顔だけと、全身を描きました。

いわゆる肌色を使わず、自分なりに感じた色を使って、黒人の方の肌を表現されていて、絵が生き生きしています。





写真ではうまく写ってないのですが、淡いトーンで丁寧に描かれています。意外と難しいのが、頭部と首と肩のつき方です。形はよく捉えられてるので、首筋をもう少し強く描くと動きが出てくると思います。





絵を描いた上に、モデルさんにサインを描いてもらいました。ROOT ONEと描かれていて、グラフィティ(壁などに描く落書きアート)を描く時のサインだそうです。





首から肩への印象がすこし弱く感じるのですが、腰のあたりの表現はとてもいいですね。足をのせいてる、机や椅子なども描くとより良くなると思います。ちゃんと外国人の骨格に見えますね。





顔から足先までの動きがよく描けています。右手で隠れている、右膝から腿、腰のつながりは、すこし印象が弱いかもしれません。膝の関節で出来るシワを利用すると足のボリュームが出てくるでしょう。