2010/10/12

線でねじれを描く




 授業でよくお話することの一つに、ねじれの話があります。
自然界には、人間を含め動物や植物、地形や天候にいたるまで、ねじれや螺旋の構造が存在します。絵を描く上でもそれはとても大切な事で、「ねじれを描くこと=自然」と言ってもいい位です。今回は線によって、ねじれや膨らみを表現するお話をします。


上の二本の線は、例えば川やホースだとします。
水が流れているとしたら、静かに流れていることでしょう。






次にそのホースが、こういう状態になったらどうでしょう。
水の流れは圧迫され、勢い良く水が吹き出す力が生まれます。







逆のカーブにするとこういう絵になります。
不思議でも何でもないのですが、膨らんで見えませんか?
ここには陰影をつけていないのに、膨らみを感じることができます。







上の曲線を上下にずらすとこうなります。
ずらす事により、ねじれが生まれます。


日本画や浮世絵などに見られる整理された線と形は、この方法を利用して立体感を表しています。もちろんこの事をふまえて陰影をつけることにより、より写実的な表現にもなります。







このポーズを描かれていた生徒さんは、背中のひねりを出そうと何回も線を探されていました。背中の左へ向かうカーブだけだとひねりは生まれず、左脇の下の広背筋のライン(逆のカーブ)を見つけたところ、全身がグッとひねりはじめます。

大切なのは線が平行にならないこと。線は1本で存在しているのではなく、お互いが反発しあうことで力が生まれ、絵に膨らみを与えます。

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