2010/12/27

箔のコラージュ、その後



 先日のコラージュの後、生徒さんから作品の写真が届きました。
接着剤が乾いてから余分な箔をはらうと、きれいな模様が現れます。

光のせいか、箔の部分が暗く写ってしまいましたが、箔が立体的にくっついていて宝石のようです。腰の動きがベリーダンサーらしくとてもいいですね。











箔の上から加筆し、美しいマチエールができましたね。人物自体が強くなりましたので、寄りかかっている椅子や背景の方にも手を入れていくと、より引き立つと思います。

2010/12/26

クリスマスのお菓子

クリスマスをにぎわすお菓子たちを描きました。
描いた後は、みんなで美味しく頂きました♪





ジンジャーマンクッキーや、クグロフ、メレンゲを水彩色鉛筆で描きました。
クッキーの厚みが感じられていいですね。水彩色鉛筆は水を付けてのばすと、思っていたよりも色が薄くなりますので、はじめに少し濃い目に塗っておいた方が良いかもしれません。






フルーツのタルトが色鮮やかで美味しそうです^^
イチゴとブルーベリーの質感が少し似ているので、イチゴの粒々をはっきりと描いてあげると質感が変わって、よりイチゴらしくなると思います。時間の関係でケーキまでしか描けませんでしたが、この後好きなお皿を描いてあげたりすると、一層美味しそうになると思います。






鉛筆で描いたフルーツタルト。
意外と難しいお皿。うまくケーキをのせられていますね。果物の光沢やタルトの質感を感じさせます。より美味しそうに見せるために、果物の明暗をもう少しはっきりさせて、コントラストを付けると良いかもしれません。

2010/12/25

ランプ

古いランプを、マーブリングで模様をつけた紙に描きました。

炎の明かりは、お話を聞いていると一人一人見え方が違うそうです。
例えば、「私は炎が三角に見える」とか
「光の周りに輪っかと、光の筋が見えます」など。

ランプの明かりは、ローソクのようにゆらゆらと揺れはしないのですが、しん、と静まった空気をまとっていて、魅力的なモチーフです。





落ち着いた模様のマーブリングの紙に描きました。
どこか古びた雰囲気が、ランプとよくあっていますね。
ランプの芯が、オイルに漬かっている所と浸かってないところの差が、
ガラスの透明感を生み出しています。






講師作品
濃い色の模様の紙に描きました。
くせの強い模様の紙にでしたので、ランプの明かりが紙に負けないように、炎のまわりの空気も一緒に表現するつもりで描きました。

箔のコラージュ

クリムトの絵のように、箔でコラージュしました。
使った箔は、洋箔という真鍮が原料になった金色の箔。
安価なので気軽に使えるのが嬉しいです。

絵を描いた上に、ボンドで直に模様を描いて、その上に箔を落とします。
ボンドが乾くと、接着している模様だけが浮かび上がります。
一般的にはニカワを使用しますが、ボンドはある程度粘度があり、模様が描きやすく、かつ盛り上がるので立体的な輝きが出ます。






ボンドで模様を描いた後、箔を落としたところ。
色付きの紙のほうが、金が映えますね。
ボンドが乾いて模様が出てきたところは、また紹介いたします。






白く見えるところがボンドです。
今回ベリーダンサーに来ていただいたので、アクセサリーが多くてコラージュしがいがありますね。^^






衣装に金箔を接着しています。出来上がってみた具合で、背景の方にも金を入れても良いかもしれません。例えばタペストリーの模様を金彩したり、凹凸があるものにボンドをつけてスタンプのように模様をつけても華やかになりますね。






一般的に人物画は顔や表情が絵のメインになりやすいですが、金箔やコラージュは見る者の視線を動かしたり、異素材を組み合わせることによって、より強い画面効果を作り出します。


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2010/12/11

女性ヌード

クロッキーの画材について
絵を描く時、特別な画材を使わなくても楽しく描くことはできます。
これじゃないといけないとかはないのです。基本的に。

短い時間で描く時(例えば1分とかムービングなど)は、鉛筆の細くてシャープな線よりも、抑揚や雰囲気の出やすいパステルや墨の方が、短時間で流れをつかみやすいです。柔らかい画材のほうが人体の柔らかさも表現しやすいでしょう。






体幹部のつながりと柔らかさが線から伝わってきますね。綺麗に描こうというよりも、線を探しているところがとても良いと思います。挙げている手の骨格が、ひねって頭にのせている所は難度の高いところです。











墨は一度描いたら線が消せないので、空を切るような緊張感のあるラインと、思わぬ滲みが雰囲気を出してくれる魅力的な画材です。墨は乾くと耐水性になるので、クロッキーをしたら家に帰って水彩で上から彩色しても良いかもしれません。







濃い色の紙に白で描くのは、写真のネガのようで面白いですね。上半身を支える左肘がよく描けています。







女性の人体で一番とらえ辛いのは腰かもしれません。良く見えない場合や前から見た座りポーズなどは、腰の量感が曖昧になりやすいのですが、このクロッキーは床に座っている腰の安定感がとてもよく描けています。

キャンドルと炎

ローソクを描きました。
みなさんにお聞きしてみると、ゆれながら灯る炎は一人一人見え方が違うようです。炎を中心に放射線状に光る筋が見える方や、炎が三角に見えるとおっしゃる方、光がダブって見える方もいらっしゃいました。






パンパステルで描いてらっしゃいます。パフで描くタッチが暗闇の靄のようで、その中に灯る一筋の光を感じますね。炎に惹きつけられる作品です。







ロウの透明感と光がダブってる見える感じが、作者の目線と観察力を感じさせます。しんとした中で、灯っています。






炎が灯りが、どこまで届くだろう、と感じさせる作品です。ローソクは、光の灯る上部を暖色で描いた場合、下部に寒色を入れると、より炎の輝きを感じさせます。

2010/11/28

水晶と質感の描き分け




いくつか質感の違うものを集めて、違いを描きました。

水晶、蓮のドライ、鉄の球、すりガラスの球。蓮以外は時間の経過によって、光の影響を受けやすい題材です。“描きやすい時”や、”綺麗に見える!"時があり、花と同じように良い時に描いてあげたいですね。

水晶は面によって明るさが変わりますが、一番明るい面を見つけて描くとシャープな印象を表現できます。上の作品は個々の質の違いを丁寧に表現されています。







水晶で難しいところがあるとすれば、立体を表現することかもしれません。映り込みの現象を追うことで、ガラスの質感は表現できるのですが、面の違いや、ごろっとした物の重さも意識しないと、なかなか存在感は出てきてくれません。

上の作品は、面の方向の違いを表現し始めていて、静かに置かれている感じがいいですね。







背景をつけることによって、より水晶の中の光を表現しています。触った時の温度を感じさせるいいデッサンです。







水晶が白い空間の中で、スクッと立ち上がった表現がいいですね。石の中の、上部の透明感と下のすりガラス状の表現の違いがよく描けています。







蓮の実の穴がムンクのようですね^^
穴の周りがクレーターのように、縁が浮き上がってるいる表情を丁寧に描いています。

2010/11/27

ダンサー・クロッキー

絵で人に何かを伝えられたら、それはすごい事だと思います。
上手く描くことも細密な描写も、それは表現の一つだと思いますが、大切なのは生き生きしてる事ではないでしょうか。

面白いなと思うのは、生き生きしてる絵というものが、上手い下手ではないこと。思い切って声を出してみたら、歌えた!という感じで、自分の表現で描かれている作品はちゃんと伝わってきます。

人物画のクラスでは、ダンサーの方に踊っていただいてそれを描く事があります。動いている題材ほど難しいものはないと思いますが、最初は、人が立っているのか、座っているのか、どちらを向いているのかだけでも描けたら万々歳だと思います。どんどん描いていくと、眼と手が一体となっていく感じが体感できます。細部は、固定ポーズの時に観察すればいいのです。









ダンス中のクロッキーです。人が動いている姿が、本当に伝わってきますね。いろいろな描き方があると思いますが、教室では“覚えて描く”ということをおすすめしています。じぃーっと見て、「よし!覚えた!」と思ったら描きます。^^







人の存在感が感じられてとてもいいですね。線の流れが肌の柔らかさも表現されていると思います。










2枚同じ方のクロッキーです。線を何回も引き直したり、毎回楽しんで描いてらっしゃるのが絵から伝わってきます。

2010/11/20

手のデッサン





手を描くときに一番気をつけることは、手首の関節。
手は骨格も複雑で、関節や筋が複雑に入り組んでいます。

手首の関節は、手のひらと腕をつなぐ大きな関節ですので、この位置をきちんと意識することが大切です。

自画像でも同じことが言えるのですが、今持っている自分の技術で、今の自分自身を描くことは、とても意味深い事だと思います。時を捉えるような、本当に今しか描けないことです。

上の作品は、そういう事を気づかせてくれるようないい作品ですね。丁寧に見つめている感じがよく描けています。こういう目で普段見慣れたリンゴや花を描くと、なんでも美しく見えてくると思いませんか。







物を持ったり掴むことは、遙か昔からしてきたことで、知性というか意識がそこにある感じがします。写真がぼけてて申し訳ないのですが、難しい手首の筋を丁寧に描けています。







最初に手の塊の大きさの当たりをとって、指の関節を描いていきます。指先の向きの表現に苦心されていましたが、手をそっと置いた存在感はとてもいいですね。







講師作品
関節のわかりやすいポーズにしました^^
鉄の球や、爪の質感に変化を出してあげると、肌の色が表現しやすいです。

2010/11/13

浴女




ドガの浴女の作品のような、髪を洗っているポーズをお願いしました。髪も体の一部。別々に描くのではなく、常に一緒に描くことが大切です。

上の作品は、背筋が右へカーブするラインの先に、右手でつかんだ髪の束があります。体の傾きが、首だけで曲げているのではなく、上体がしなやかに傾きながらひねっており、その姿がよく描けています。






左の人物の、体を丸めている感じが魅力的に描けています。ちゃんとよく見ないと描けない耳の表現や、唇の厚みなどとても女性らしくていいですね。






パンパステルと墨の線の組み合わせ。先にパンパステルで人の存在感を描いた後で、細い墨の線を入れています。女性独特の体のラインをやわらかな細い線で描かれています。






一番最初の作品と同じポーズですね。三枚ともよく描けていますが、髪を引っ張っている感じは、首筋と髪の毛のラインが繋がっている左の絵がいいと思います。右の作品は女性らしい腰から腿にかけてのラインが人の重さを感じさせます。

2010/11/06

クリスタルの結晶




クリスタルの結晶を鉛筆デッサンしました。

結晶を描くときのポイントは、明るい面がどこかを決めること。モチーフをセットする時、あるいは座る位置によって、キラッっと面が光る瞬間があります。その明るさを大切に描くと、硬質な輝きのある結晶を描くことができます。





映り込む現象はクリスタルの特徴ではあるのですが、大切なのはコロッと机に置いてある感じ。全体の塊感です。現象を細かく観察するだけでなく、たまには立って画面を離れて見ることが大切です。

2010/10/24

バレリーナ




ふんわりとしたチュチュをまとったバレリーナを描きました。

上のサインペンだけで描かれたクロッキーは、左手で描かれたもの。
右脳を使って描く練習に、利き手と反対の「左手で描く」という方法があります。上の作品は慣れない左手で、ただモデルさんのラインを追っていく事に集中して、体も服も同じ価値で描かれているのが印象的です。






出来あがった作品からは分かりづらいかもしれませんが、この作品は先にパステルで色の塊を描き、その後線が入れています。変わらないように思われるかもしれませんが、線を引いてからの色付けは、どうしても塗り絵のようになってしまいがちです。

先に色の塊で大きく人体の存在感を描く方法は、薄目でぼんやり見ている感じと似ています。人だけを描くのではなく、その周りの空気もつかみやすい描き方です。






チュチュで隠れた腰のラインに注意して描きました。
デッサンとは見えないところを想像して描くこと。短時間で描くクロッキーは上手く描くことよりも、見えないところを理解する訓練のつもりで描くと、形の理解力が深めることができます。






色付きの紙にパステルで描かれています。背中のコルセットのラインと、チュチュから出た膝が、見えないチュチュの中でどうつながってるのかを想像することが大切です。

2010/10/23

ザクロとコンポート




赤くなりかけのザクロの枝と、コンポートを描きました。

ザクロの実は手に持ってみるとズッシリと重く、よく枝から落ちずに付いてたなと感心します。コンポートなど食器類には円形が多く、楕円の見え方にみなさん苦心されていました。

上の作品は丁寧に質感を描けています。気をつけるところは、ザクロで見えない向こうの形。コンポートの楕円の縁が、この角度ならザクロの隙間から見えそうな感じがしますね。






ザクロの実の質感や葉が、とても愛情深いタッチで描かれています。コンポートの縁に枝がひっかかり、実のたれている感じが重さを表しています。






葉の表現がとても丁寧で、日本画的な写生です。陰影というよりも、固有色と形。葉の方向性がよく捉えられています。より良くするためにアドバイス出来るとしたら、ザクロの実の角をもう少し見つけてあげることでしょうか。ザクロの実は、6つに割れたクチバシと同じように基本的に6角形をしています。






ザクロの実、枝葉、コンポートの質、一つ一つ味わいながら描かれているデッサンで、香りまで伝わってきそうです。(ザクロは香りはしませんが^^)右側のタイルもこれから描かれるそうです。

2010/10/12

線でねじれを描く




 授業でよくお話することの一つに、ねじれの話があります。
自然界には、人間を含め動物や植物、地形や天候にいたるまで、ねじれや螺旋の構造が存在します。絵を描く上でもそれはとても大切な事で、「ねじれを描くこと=自然」と言ってもいい位です。今回は線によって、ねじれや膨らみを表現するお話をします。


上の二本の線は、例えば川やホースだとします。
水が流れているとしたら、静かに流れていることでしょう。






次にそのホースが、こういう状態になったらどうでしょう。
水の流れは圧迫され、勢い良く水が吹き出す力が生まれます。







逆のカーブにするとこういう絵になります。
不思議でも何でもないのですが、膨らんで見えませんか?
ここには陰影をつけていないのに、膨らみを感じることができます。







上の曲線を上下にずらすとこうなります。
ずらす事により、ねじれが生まれます。


日本画や浮世絵などに見られる整理された線と形は、この方法を利用して立体感を表しています。もちろんこの事をふまえて陰影をつけることにより、より写実的な表現にもなります。







このポーズを描かれていた生徒さんは、背中のひねりを出そうと何回も線を探されていました。背中の左へ向かうカーブだけだとひねりは生まれず、左脇の下の広背筋のライン(逆のカーブ)を見つけたところ、全身がグッとひねりはじめます。

大切なのは線が平行にならないこと。線は1本で存在しているのではなく、お互いが反発しあうことで力が生まれ、絵に膨らみを与えます。