2010/11/13

浴女




ドガの浴女の作品のような、髪を洗っているポーズをお願いしました。髪も体の一部。別々に描くのではなく、常に一緒に描くことが大切です。

上の作品は、背筋が右へカーブするラインの先に、右手でつかんだ髪の束があります。体の傾きが、首だけで曲げているのではなく、上体がしなやかに傾きながらひねっており、その姿がよく描けています。






左の人物の、体を丸めている感じが魅力的に描けています。ちゃんとよく見ないと描けない耳の表現や、唇の厚みなどとても女性らしくていいですね。






パンパステルと墨の線の組み合わせ。先にパンパステルで人の存在感を描いた後で、細い墨の線を入れています。女性独特の体のラインをやわらかな細い線で描かれています。






一番最初の作品と同じポーズですね。三枚ともよく描けていますが、髪を引っ張っている感じは、首筋と髪の毛のラインが繋がっている左の絵がいいと思います。右の作品は女性らしい腰から腿にかけてのラインが人の重さを感じさせます。

2010/11/06

クリスタルの結晶




クリスタルの結晶を鉛筆デッサンしました。

結晶を描くときのポイントは、明るい面がどこかを決めること。モチーフをセットする時、あるいは座る位置によって、キラッっと面が光る瞬間があります。その明るさを大切に描くと、硬質な輝きのある結晶を描くことができます。





映り込む現象はクリスタルの特徴ではあるのですが、大切なのはコロッと机に置いてある感じ。全体の塊感です。現象を細かく観察するだけでなく、たまには立って画面を離れて見ることが大切です。

2010/10/24

バレリーナ




ふんわりとしたチュチュをまとったバレリーナを描きました。

上のサインペンだけで描かれたクロッキーは、左手で描かれたもの。
右脳を使って描く練習に、利き手と反対の「左手で描く」という方法があります。上の作品は慣れない左手で、ただモデルさんのラインを追っていく事に集中して、体も服も同じ価値で描かれているのが印象的です。






出来あがった作品からは分かりづらいかもしれませんが、この作品は先にパステルで色の塊を描き、その後線が入れています。変わらないように思われるかもしれませんが、線を引いてからの色付けは、どうしても塗り絵のようになってしまいがちです。

先に色の塊で大きく人体の存在感を描く方法は、薄目でぼんやり見ている感じと似ています。人だけを描くのではなく、その周りの空気もつかみやすい描き方です。






チュチュで隠れた腰のラインに注意して描きました。
デッサンとは見えないところを想像して描くこと。短時間で描くクロッキーは上手く描くことよりも、見えないところを理解する訓練のつもりで描くと、形の理解力が深めることができます。






色付きの紙にパステルで描かれています。背中のコルセットのラインと、チュチュから出た膝が、見えないチュチュの中でどうつながってるのかを想像することが大切です。

2010/10/23

ザクロとコンポート




赤くなりかけのザクロの枝と、コンポートを描きました。

ザクロの実は手に持ってみるとズッシリと重く、よく枝から落ちずに付いてたなと感心します。コンポートなど食器類には円形が多く、楕円の見え方にみなさん苦心されていました。

上の作品は丁寧に質感を描けています。気をつけるところは、ザクロで見えない向こうの形。コンポートの楕円の縁が、この角度ならザクロの隙間から見えそうな感じがしますね。






ザクロの実の質感や葉が、とても愛情深いタッチで描かれています。コンポートの縁に枝がひっかかり、実のたれている感じが重さを表しています。






葉の表現がとても丁寧で、日本画的な写生です。陰影というよりも、固有色と形。葉の方向性がよく捉えられています。より良くするためにアドバイス出来るとしたら、ザクロの実の角をもう少し見つけてあげることでしょうか。ザクロの実は、6つに割れたクチバシと同じように基本的に6角形をしています。






ザクロの実、枝葉、コンポートの質、一つ一つ味わいながら描かれているデッサンで、香りまで伝わってきそうです。(ザクロは香りはしませんが^^)右側のタイルもこれから描かれるそうです。

2010/10/12

線でねじれを描く




 授業でよくお話することの一つに、ねじれの話があります。
自然界には、人間を含め動物や植物、地形や天候にいたるまで、ねじれや螺旋の構造が存在します。絵を描く上でもそれはとても大切な事で、「ねじれを描くこと=自然」と言ってもいい位です。今回は線によって、ねじれや膨らみを表現するお話をします。


上の二本の線は、例えば川やホースだとします。
水が流れているとしたら、静かに流れていることでしょう。






次にそのホースが、こういう状態になったらどうでしょう。
水の流れは圧迫され、勢い良く水が吹き出す力が生まれます。







逆のカーブにするとこういう絵になります。
不思議でも何でもないのですが、膨らんで見えませんか?
ここには陰影をつけていないのに、膨らみを感じることができます。







上の曲線を上下にずらすとこうなります。
ずらす事により、ねじれが生まれます。


日本画や浮世絵などに見られる整理された線と形は、この方法を利用して立体感を表しています。もちろんこの事をふまえて陰影をつけることにより、より写実的な表現にもなります。







このポーズを描かれていた生徒さんは、背中のひねりを出そうと何回も線を探されていました。背中の左へ向かうカーブだけだとひねりは生まれず、左脇の下の広背筋のライン(逆のカーブ)を見つけたところ、全身がグッとひねりはじめます。

大切なのは線が平行にならないこと。線は1本で存在しているのではなく、お互いが反発しあうことで力が生まれ、絵に膨らみを与えます。